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Dec 11, 2017 - review

ゼノブレイド1, 2 考察 ストーリー対比

こんにちは、ゼノブレイド大好き伯爵です。今回は、寝る間を惜しんでプレイした超大作JRPG『ゼノブレイド2』のストーリーについて考察していきます。まだ発売から数日で、他の比較を見ていないですが、思ったことをまとめました。

前提として、ゼノブレイド2は超良作でした。ゼノブレイド以来の名作だと思います。これほどボリュームの有るストーリーを持ったRPGは本当に久々でした。こちらのブログ記事は、プレイ済みの方 or プレイすることを諦めた方向けに書いているため、ネタバレが嫌な方はご覧にならないでください。

備忘録:世界観

ここは、数年後に自分が読んだ時にストーリーを思い出すためのパートです。ストーリーを覚えている方は次章 「ゼノブレイド1, 2の共通点」 へお進み下さい。

『ゼノブレイド2』の公式ウェブサイトをご覧になると、ファンタジー系の長編RPGであることが感じ取れると思います。

“代替メッセージ”
ゼノブレイド2 公式サイト より]

概要としては:ゼノブレイド2の舞台となる「アルスト」という世界では、巨大な「世界樹」を中心に雲海が広がり、雲海には巨大生物「巨神獣アルス」が漂流しています。人類やその他諸々の生物は、この巨神獣アルスの背中 or 体内で生活をしています。世界樹は謎の存在であり、人々の間では「世界樹の上には楽園が広がっている」という噂・伝説が口伝えに広まっているだけでした。

しかしこういったファンタジー系な印象とは異なり、ゲームを終盤まで進めますと、こちらは「空想」というより「SF」に近い世界観であることが分かります。「人類の文明が進んだ結果、こういう未来になるのではないか」というSFモノです。

この世界は、現在の我々の地球人類の高度な文明による戦争の残骸でした。戦争は拡大し続け地球上の大都市は崩壊し、宇宙コロニーや軌道エレベーターにまで戦争は広がりました。この戦争の途中で特殊な技術を手に入れた一人の科学者;クラウスが実験をした結果、文明は完全に崩壊しました。クラウスだけは生き残り宇宙コロニーは残りましたが、地球から生物はいなくなり、まっさらな状態になってしまいました。

文明がなくなった地球に残されたクラウスは地球に生命を戻すため、「雲海」を創り、「ブレイド」(後述)を創り、世界の循環システムの理を創りました。この後、地球がアルストと呼ばれるようになります。
彼の居住する宇宙軌道エレベーターは、長い年月をかけて植物が巻き付き、「世界樹」と呼ばれるようになりました。(つまり世界樹の上に広がる楽園というのは「宇宙コロニー」のことでした。)

この科学者クラウスの容姿(若い時)がゼノブレイド1の主人公:シュルクに似ています。ちなみにゼノブレイド1でも世界を創造した科学者の名前がクラウスであり、ストーリー中ではザンザと呼ばれていました。クラウスはシュルクと同じ顔をしています。

ゼノブレイド1, 2の共通点

本題ですが、メツとの最終戦で、神クラウスにカメラが向いている時に、

「僕達は僕達の手で神を斬り 〜」

というセリフが誰かの声で流れました。声から判断しましたが、これはゼノブレイド1のシュルクの最終決戦でのセリフです。

また、2の神であるクラウスは「向こう側の半身が無くなる」という主旨の発言をしていました。これらから、ゼノブレイド1,2の共通点に気が付きました。

「向こう側の半身」とはゼノブレイド1のザンザなのではないでしょうか?そう考えると、こういう説が有り得ます:

  • ゼノブレイド1, 2の創造主:科学者クラウスは共通している
  • 世界を創る実験の結果、半身がザンザになり、半身が「とうさま」(ゼノブレイド2の神:クラウス)になった。
  • ザンザがシュルクに敗れるため、もうじき「とうさま」の半身が消える。そのため「とうさま」も寿命が近い。

これを裏付ける存在として、「モナド」があります。モナドは双方の作品に登場する「粒子を操る刀」ですが、それ以上の共通点があります。

ゼノブレイド1の「モナド」は「アルヴィース」という青年の分身でしたが、アルヴィースは元々科学者クラウスが世界を創る実験をするために用いたコンピュータのプロセッサであったと語っています。ゼノブレイド2ではブレイド;メツが剣「モナド」を使いました。そのメツ自身も元は世界を創造する際に使用した3プロセッサの1つでした。この辺には共通要素があります。

まとめて推測しますと、アルヴィースはモナドのブレイドです。そして、アルヴィース・メツ・ヒカリの3名(のコアクリスタル)がクラウスが実験で用いたプロセッサであり、天の聖杯だったということです。元々プロセッサにはウーシア・ロゴス・プネウマという名前がついており、ロゴスはメツでありプネウマがヒカリであるということは作中で分かっています。

ゼノブレイド1, 2 の対比

世界観の繋がりを指摘したところで、この2つはどのようにメッセージが異なるか申し上げます。

作中で、神であるクラウスは「もう一つの自分」について言及しています。楽園で味方のメレフやトラと戦うシーンです。クラウスがレックスに見せた夢の中では、味方の皆さんが表に見せない or 可能性として存在した自分の姿 が登場します。普段は仲間を信じ、この世界(アルス)を救って維持するために努力していたパーティですが、もしかしたら可能性としてはアルスを滅ぼす意志をもっていた方向に行っていたかもしれないのです。

「このシーン要るのか?」と筆者は一度思いましたが、ここで気付くべきなのは「もう一人のレックス達」ではなく「もう一人のクラウス」なのでした。クラウスは実験の前に地球で「戦争を止めたい善意」と「この世を終わらせたい諦観」で葛藤していたと推測できます。そして後者が、ザンザとしてゼノブレイド1の世界に行ってしまったことになります。

残ったゼノブレイド2のクラウス(とうさま)は、世界を止めたい善意ですから、世界を終わらせたい願望をおそらく毛嫌いしています。その結果、クラウスは500年前に楽園を訪れたマルベーニには会いませんでした。マルベーニは世界を滅ぼしたい願望(ブレイド・アルスを無くしたい願望)がありましたので。それを表して、クラウスはレックスたちに彼らの二面性を見せて、

「今私の前にいるのは、今のお前たちだ」

と喜びの一言をかけました。

クラウスが二分された結果、ゼノブレイド1, 2 はテーマも対称になっています。1は破壊・2は維持です。

1は世界を破壊したい神:ザンザと、神を消して新しい世界を作りたいシュルクの争いです。2は世界を維持したいクラウスと、この世界を守りたいレックスの「同意」が描かれています。この「世界をこのまま維持したい」というアイデアが、レックスが持っていると言った「答え」だと推測しています。結局レックスの「答え」については作中では明言されませんでした。レックスが

「じゃあ俺の答えと同じだね」

と発言しただけに留まっています。

“代替メッセージ”

ここまで綺麗に作られていると、ゼノブレイドは続編が出るのか不安になって来ます。しかし凄く面白い作品だったため、うまく形をつけて次が出て欲しいです。

おまけ

ここからは蛇足です。数年経ったら私がゼノブレイド2のことを忘れてしまうでしょうから、カグツチの日記のように今回の私から見た考察を残します。

人物構造に関する見解です。ゼノブレイド1では、「人間vs機械」という構造になっていました。おそらくモノリスソフトのチームが、機械との対比を通じて人間を理解するという哲学が好きなのだと思います。今作もそれは同様です。

今作ゼノブレイド2は「人間vsブレイド」です。「ブレイド」は今作の世界観における「機械」にあたります。前作の「機械」はマジモノの機械だったため、感情移入がしにくかったというか「機械と人間の共存なんて無理だろ」って私に感情的には思わせるところがありました。ブレイドではその点が解消されています。

ブレイドは、神/クラウス の創造物の一つです。ブレイドのコアは雲海から生まれ、人間と同調するとブレイドとして具現し、死してまたコアの石へと還ります。時が経つとこのブレイドがアルスへと進化して行き、世界を支える存在になっていく循環が出来ています。

アルストの世界は、一見王国と帝国の対立が目立ちますが、人間とブレイドの対立がストーリーの根幹にあります。500年前はメツvsみんな で全世界顕在的に戦争をしましたが、戦争の末に 人間絶対主義(法王マルベーニ)vsブレイド絶対主義(イーラ)が水面下で争うことになってしまいました。

それに対して主人公たちはブレイドと人間の中間位置にあるメンバーであり、こういったメンバーが世界を救ったのは象徴的で分かりやすいと思いました。つまり人間vs技術という構図で、双方の要素を持った人物たちが双方を救うという結論です。この構図としては映画『もののけ姫』と似ていると思います。もののけ姫は人間vs自然という構図で、人間と自然を両方持ったふたりが、世界をリセットして救いました。

“代替メッセージ”

“代替メッセージ”

総じて言うと、狂気の科学者によって技術を革新させたがゆえに技術と人間が暴力で争わなくてはならないという未来を描いた作品がゼノブレイド1,2でしたが、それに答えを示したことは私の技術への価値観と近くて共感出来る作品でした。

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