恋心は超グリーディ

Blog by Ayuha/アユハ. 自己紹介はこちらから:『恋心はグリーディ

ゲーム大会運営の運営

ゲームで色んなプレイヤーが大会を開催し始めて、いっぱい出てきた時にどう運営するべきかについてです。つまりは競技シーンの形成、更に謂うなれば esports化について、知っていることを書きます。

本当は次のスプラトゥーン2オフライン大会の記事のおまけ程度に書く予定でしたが、長くなったので別記事にしました。

ゲームの大会

ゲームの大会で方針を推敲している時、以下の条件が揃っていると思います:

  • オープントーナメント
  • 非公式大会
  • 競技性を求めたい

オープントーナメントとは、参加者が誰でもエントリーできる(or 条件を満たしている人なら誰でもエントリーできる)形式のことで、招待制大会の対と謂えます。例えば招待制大会であれば、既に方針・やりたいことが決まっている事が多いでしょうから迷うことも無いでしょう。また、公式大会を運営されるのであればこの時点でこの記事を読んでいる場合では無いと思います。そして、エンジョイのための大会を開く方も勿論いますが、エンジョイ大会も方針・やりたいことが決まっていると思います。逆説的ですが、最強を決めるための大会ほど意外とルールやメタ的な運営方法が決まりづらい傾向にあります。

というわけで「自分の手で競技的なオープン大会を開いている」という方のために、一歩進んだ内容を記します。

シード

オープントーナメントの競技性にはシードが命です。大会の結果が最終的に競技的に妥当かどうかは、ほぼ大会前のシーディングで決まると言っても過言ではありません。シードが正確に実力順に割り振られていると、結果も真に実力順になると謂えますし、見ている人も結果に納得し、その大会を崇めます。更に言うと、競技性の高い大会を開く為のシードを作るために、競技性の高い大会を何度も開催する必要があります。大会は回数を重ねることに大きな意義があります。

※ シード = トーナメントでプレイヤーをどの位置に配置するか。一般的に「実力が高い者を如何に離して置くか」という意味で用いられる。英語では region seed といった表現もあり、これは「近くに住んでいるプレイヤーを離して置く」という意味で用いる(例えば、東京で大会を開催するのに九州から遠征して来た人達同士が予選で当たったら可哀想なので、別予選に置く)。

プレイヤーランキング

じゃあ実力シード順はどう作るのかと言うと、テニスのように「プレイヤーランキング」を常設して、大会ではエントリーしたプレイヤーをこのランキング順に割り振ればいいだけです。客観的な数値に基づけば、誰からも物言いがつきません。

例えばスマブラ4には、日本プレイヤーランキング「JPR」が存在します↓

上のランキングは最新のモノです。前のバージョンの際に作成者が書いたブログですが、プレイヤーランキングの決め方・思想が載っています:http://harukisb.hatenablog.com/entry/2016/11/03/230644

しかし、プレイヤーランキングの作成方法に物言いがつくことはあります。参考になりますので、以下の批判もセットで御覧ください↓
しょーぐん批判:http://shogunsnake.hatenablog.com/entry/2018/01/23/210728

批判はありますが、それはプレイヤーランキングで何を追求したいかという意志次第です。「揉めるタネになるからランキングを出すのは避けたい」という発想は有り得ますが、それでもランキングは出したほうが良いです。やはり大会の競技性に繋がりますし、参加者のモチベに繋がりますし、ランキングはプレイヤーの名刺代わりにもなります。

団体ゲームになるとココが難しくなってきます。スプラトゥーン2では、様々な理由によりチームが解散することが多いと聴いています。すると、チームごとにランクを付けると、一度付けたランクが意味が無くなってしまうことになります。解決するには、

  • 個人ごとにランクを付ける。大会結果に応じて何かしらの形で個人にポイントが入り、チームの戦闘力は4人の戦闘力の合計になればいい。チームを解散・組み換えしても、個人戦闘力を足せばチーム戦闘力は測れる。厳密に評価できるが、計算が煩雑。
  • メンバーが抜けてもチーム名は維持する(海外ではこちらが主流)。ポイント・ランキングはチーム毎に計算されるため、たとえメンバーが4人中3人抜けようとも、チーム名は変えず、チームのランクもそのまま維持される。次の大会で結果が大幅に下がることが見込まれるが、計算が楽。

こういった手法が考えられます。アメリカのスプラトゥーン2では、Splat Stats が大会結果で「チーム毎に」ランク付けしていました。
https://twitter.com/SplatStats

大会ランキング

そのプレイヤーランキングを決める基盤が、大会ラインキングです。例えばテニスでは4大大会は世界ランキングに反映されるポイントが多めになっており、他大会とは比重が異なります。この傾斜の付け方が大会ランキングです。

スプラトゥーン2ではオンライン大会が多いため、特に大会数が飽和してくると思います。凄く良いことで、ほぼ全てのゲームで大会数は飽和しません(寧ろ足りなくて飢餓状態になります)。しかし多すぎると、出場する側が疲れるという問題があります。スマブラやスト5は大会の出過ぎで体調を崩す(最悪の実例では入院)選手を沢山見てきましたので、休むべきです。

そこで、大会をランク付けして解決します。 どうランク付けするかと言うと、

  • エントリー人数
  • 上位ランカーが何名参加しているか

で評価を付けます。
実際にスマブラ世界ランク(Panda Global Ranking)で用いられる、大会と評価を割り振った表がこちらです↓。日本の大会も含まれています。(Tournament が大会名・Tierが評価です): https://docs.google.com/spreadsheets/d/1yp15-NiSgw1PR_AsdFLfy4RQpm4EgpvDrfokxRrSYfU/edit

"代替メッセージ"
[大会ランクの一部スクショ。日本の Umebura Japan Major が DreamHack Austin と同格なのは本当に頑張ったと思います。]

S,A,B,C と割り振られているのが分かるでしょうか。(実際はC未満の大会も有る。)こうすると、超上位勢同士が同じ大会に揃って出る目安が見えてきます。では、強い人が出なかった結果ランク付けを低くされた大会は意味が無いのかというと、そういう訳ではありません。逆に超上位勢が低ランク大会に出なくなることで、

  • 超上位勢が休暇を取れる
  • 中堅プレイヤーが活躍して認知される
  • 中堅プレイヤーにもランキングポイントがある程度入る
  • 中堅プレイヤーが決勝ルールを経験できる

といったメリットがあります。
決勝ルールに関しては、多くの大会で決勝付近は違うルールになります。例えばずっと2本先取なのにTop8から3本先取になるといった具合です。3本先取は経験がモノを言うので、真剣勝負で経験できる場は貴重な機会です。

また、「中堅にもポイントが入る」に関しては一見「弱いやつが過大評価されて良くないのでは?」と思えるのですが、そうではないです。大会ランク分け無しにやってしまうと、全ポイントが一握りの強豪に持って行かれて、中堅以下(もはや「上の中」以下)にポイントが一切入らなくなります。下がサチってしまいます。これでは意味がありません。上位から下まで、滑らかにポイントが入ることが理想です。

ストVでは、Capcom Pro Tour という世界ツアー形式になっており、Capcom USA の手で各地の大会が認定されており、更にどの大会が Premier なのか(上位入賞に追加特典がある)を示しています。↓ https://capcomprotour.com/schedule/

大会運営の運営

過去にスト4(現スト5)やロケットリーグといったゲームが、まさに世界で「大会数が飽和している状態」でした。そこで大会を秩序立て、日付を割り振り、大会のランキングを明示したことで、競技性が高くなったと言われています。こういった運営アドバイスをTwitchはしているので、気になりましたら実際にそれをしている人達(ZhiやNintendude)に私から質問をすることも出来ます。

また、大会運営はどうやってきたのかを追ったスマブラ4界隈の歴史に関してのインタビューがありますので、時系列順でなにをしたのかは参考になるかと思います:

esports

狭義な話をすると、この更に上まで詰めたものを “esports” と呼びます。日本では躍起になってなんでもesportsと命名されますが、「ゲームだって大会運営しっかりしていて強いプレイヤーを序列づけているからスポーツみたいじゃん」という道順でesportsという単語は生まれました。厳しい話をするとスマブラ4(DXも)でさえ、esports と呼べるかはギリギリグレーな領域です。

ガチesportsは大会運営がどうなっているのかと言うと、リーグ形式です。日本でも League of Legends は世界のリーグの一環に含まれています。勿論選手はチーム単位で活動し、国内で1部リーグ・2部リーグがあり、入れ替え戦があり、2部リーグへの挑戦権獲得戦もあります。大学生トーナメントもあります。日本で優勝すると、世界への挑戦権が与えられます。

逆にesportsになると、年間スケジュールに沿った管理が重要になり、リーグに参加している選手も様々な面で自由が無くなります。esports化していないタイトルであることにも、自由であったり自分の手で管理出来るといったメリットもある訳です。

日本ではゲーム会社が多いため、全体で見ればゲーム大会が多い国になっていますが、ゲームタイトル毎に見ると公式大会が年1でしか行われないことが多いです。公式大会はクオリティが高いですし御前試合ですので盛り上がるのですが、年1でしか大会が無いというのは若者には情熱を持て余してしまいます。プレイヤーの手で、盛り上がるに十分な大会を運営できると単純に楽しいので、もっと日本国内でもオフラインで有志の大会が増えてほしいです。