恋心は超グリーディ

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Jan 3, 2017 - others

RTA in Japan の もか さんにインタビュー

2016年12月28-30日。RTA in Japan というオフラインイベントが行われました。

その主催者の「もか」さんに訊ねてみました。

RTA in Japan

そもそも RTA とは、Real Time Attack の略で、ゲームをクリアするタイムを競うプレイ方式を指します。この言葉をご存じなくとも、マリオ64や時のオカリナを高速でクリアする映像をどこかで見たことある方は多いでしょう。RTAは和製英語なので、海外では “Speedrun” と呼ぶ方が一般的だと私は認識しています。

“RTA in Japan の もか さんにインタビュー”

  • 動画 Twitchハイライト
  • 動画 エクスポート版

RTAの歴史に関しては、以下のリンクが詳しいです。こちらのインタビュー自体は被る点が多くございます。 http://rta-play.info/event/article020/

しかし和製英語が根強く残る業界は、広く・そして団結力のあるコミュニティが健在であると専らの傾向があります。どんなコミュニティが「RTA」界にあるのか、インタビューを通じて見てみました。

インタビュー内容

アユハ:こんにちは。もかさんです。
もか:よろしくお願いいたします。
(基本、インタビューアのアユハをQ., 答えるもかさんをA.で表記しています。)

[ イベントの説明 ]

Q: まずですが、RTAって普段どうやって練習してるんですか?
A: 色々ありますが主に2パターンで、
RTAはアクションゲームが多いです。1F単位で精度を高める人もいれば、
RPGの戦略を考える人もいます。(もかさんもここです。)机で考えて、あとは通すだけです。こちらは動画化・配信する人は少なく、戦略が立ったらプレイします。
RTAの歴史を説明しますと、
昔はRTAはRPGばっかりでした。「動画」が可能になってアクションのRTAが始まりました。

Q: へえーなるほどです。確かに、東大のゲー研がいつもRPGのRTAばっかりやっていたので、そのイメージがありました。
A: 実は、
「おてう」さんという東大ゲー研がらみの「極限攻略研究会」(ゲーム攻略サイト 「極限攻略」 と同じ母体)が、「RTA」という概念を考えたんです。

Q: その経緯で RTA と Speedrun と、国内・海外で呼称の違いがあるのですか?
A: RTAについては…、
昔は日本の主流は「タイムアタック」でした。
タイムアタックとは、…FFなら分かりやすいのですが、「最後のセーブポイントのタイム」の画像を観るものです。(試行の末に理想のゲーム内クリアタイムを追求する。)なので「とあるボスが1/128でドロップするアイテムを出すまで粘る」というのが主流でした。

“RTA in Japan の もか さんにインタビュー”
(例:FF7 “タイムアタック” で用いるセーブデータ。『ファイナルファンタジーⅦ アルティマニア オメガ』タイムアタック進行チャートより。私がカメラで撮影。)

これはRTAとは違います。
そこから、RTA が別流派で生まれました。「タイムを競っているのに、リセットしまくりはおかしいんじゃないか」という経緯で生まれました。手元のストップウォッチで開始から最後までを単純に測るのが、RTAです。(ゲーム内のセーブデータに表示される時間ではなく、実時間で何分経過したかを追求する。)

Q: RTAはいつごろ生まれたのですか?
A: 2001年頃ですね。
ドラクエ1,2 の1と言われています。(伝説)
おてうさんが講義と講義の間に暇つぶしとして始めたと言われています。部室に帰って、1時間45分くらいのRTAを行う。空いた講義の間にクリアです。 空き時間の有効利用だったんですね。

Q: Speedrun はどうやって生まれたんですか?
A: GDQの元になっている Speed Demos Archives が始まりです。
昔の話は詳しくないのですが、SDA は Quake の攻略サイトだったらしいです。SDA に動画送ったことがあるのですが、Metroid なんとかというドメインに送りました。2008年頃送りました。だから、メトロイド発祥かもしれません。

“RTA in Japan の もか さんにインタビュー”
{% oembed https://twitter.com/GamesDoneQuick/status/807460947115839488 %}
(SpeedRunの巨大シーンを抱えるアメリカの “GDQ” = GamesDoneQuick)

Q: 実はRTAとSpeedrunでは、日本のRTAの方が概念が古いんですか?
A: そうです。
英語でもRTAで通じます。
以前は RTA を指して Single Segment Speedrun だったのですが、今は単にSpeedrun。もしくはRTAで通じます。
日本でタイムアタックと呼ぶものを、英語では In Game Time と呼びます。

Q: いつごろからアクションのRTAが盛んになったのですか?
A: 2008,09のニコ生時代です。
例えばヨッシーアイランドをやっている2人はTwitchニコ生両方やってる組です。

ニコ生以前にあったのですが、例えば私はPeercast 出身です。でもポート開いて無いと見られないので…。それまではクローズドなコミュニティでした。
今日の参加者も2,3割はPeercast出身です。(PeerCast とは、P2P形式のライブストリーミングソフトです。)

Q: オフラインイベントって日本にどのくらいありますか?
A: 今回はじめてに近いです。
8月にPeercast組の身内でやってみましたが、
そこでTwitch社員からWhisper が来て、イベントにドンソク(Twitch韓国社員)が来て、12月の開催に至りました。
マリオ組だけは独自に開いていたみたいですが。

Q: 普段は、基本、どういうイベントがあるのですか?
A: オンラインのイベントですね。オンラインは盛り上がっているのですが。
1ヶ月に1回、なにかしらあると思います。

Q: オンラインはどう集まりますか?
A: 生放送で集まる感じです。

Q: 知り合う方法はいかがでしょう?
A: ツイッターで知り合って、
人によってはLINEでコミュニケーションとるかもしれません。
今はDiscordがはやりはじめました。

Q: Discord に?!
A: 海外勢と交流できます。
Twitch と同じなのですが、 “Emote”「スタンプ」があるので、あれだけでコミュニケーション出来ます。

Q: 皆さんかなり強いとうかがっていますが、今回のプレイヤーで特に注目のプレイヤー挙げて下さい。
A: みんなすごいのですが、

  • マリオ64の Xiah さんは世界1位です。スター16枚ルールで。マリオ64の中ではこれが一番多いカテゴリです。400-500くらい競技者がいます。マリオ64には全体で1000以上のランナーがいます。
  • ドンキー2の ふぃす さん。HOTFIX に行ったことがあるレベルです。 “RTA in Japan の もか さんにインタビュー”
    (画面左のドンキーの姿が ふぃす さん。プレイ中にバナナを食べる姿が話題となった。)

Q: 日本はSpeedrunつよいんですか?
A: つよいです。
今年の GDQ に2名行きます。
JRTA Marathon という渡航費を集めるための配信があるのですが、2-3年前に始まりました。これで4000$集まりました。 これから、2017年1月に行きます。カービィスパデラ(世界1位)/ 夢の泉DX(2位くらい) の2名が渡航します。

主催のアンリが、日本の人がいてめっちゃうれしいって言ってました。

Q: 今後もオフラインイベントやりますか?
A: やりたいです。
今回の教訓を活かしてやりたいです。

(ちなみに今回は、プレイヤーは48名。観客は300名くらいです。)

Q: もかさんはどうしてRTAをはじめましたか?
A: タイムアタックの頃からやってます。雑誌の動画投稿があって、その頃にやり始めました。
それが20年前。小学校の頃から。それからずっとです。
最初は ヴァルキリープロファイル でした。なので16年くらいやってます。しかし最近はカナダにしかプレイヤーがいません。英語版をAmazonで買いました。

Q: 最近の人はどのようにRTAを始めますか?
A: コミケで話を聞きましたが、
「動画を見て」という人が多いですね。若くなるともう雑誌じゃなくて動画ですね。

Q: ではRTAをやったこと無い人に、お誘いのメッセージを。
A: RTAは僕にとっては、普通に遊ぶよりもよほど面白いです。 誰でも出来るので、やっていただければ。ストップウォッチをつけるだけなので。

…(ストップウォッチ談)昔のストップウォッチは駄目だったのですが… 昔はエンコードしながらだと何秒かずれてしまって。 LiveSplit というストップウォッチがいま主流ですね。電波時計と同じやり方です。Clocking と PC時間を両方見て、正確な方を採用するストップウォッチです。

今はRTAinJapan のツイッターがありますが、これは初心者向けのサイト用でした。そこにストップウォッチの歴史が書いてあります。

また、こういうイベントが無かったので、潜在的な人が来てくれるだろうと思ってこのイベントを作りました。現に人は集まりました。

以上

インタビューは以上です。

筆者の私見ですが、世の中にはイベントをすれば、即、人が来場して視聴者も来るとたかをくくっている方がいます。しかしそうではありません。「他人」が開いたイベントであればほぼ興味を持たないのが、人として自然かと思います。
今回のRTAイベントでは会場へいらした方も300名にのぼり、同時視聴も4000を超えました。この波及力のポイントは、各走者が日頃から活動し、生放送し、「他人」ではない「身内」の輪を広げていたからだと感じます。私もRTA動画を見たことがあったので、このシーンを肉眼で初めて捉えることが出来、私も長生きすると幸運があるものだとつくづく感じました。

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