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Feb 21, 2021 -

ヒーリングっど♥プリキュア 振り返り

特殊な一年を終えた作品『ヒーリングっど♥プリキュア』について、残しておきます。

ヒーリングっど♥プリキュア とは

『ヒーリングっど♥プリキュア』はプリキュアシリーズの17年目作品(基本的には1年1作品)です。プロデューサーや音楽などスタッフが少しずつ代替わりしながら、女児向け・東映アニメーションという体制は変わらずに継続されて来ました。 更には毎年3月・10月と、2作品の劇場版映画を出していました。

日本で継続しているコンテンツで、ここまで継続され・キャラ(IP)に代替わりがあり・スタッフも変えながら・連続してに発信されている作品はかなり珍しいと感じています。

例えば今作は:

  • キャラクターデザインの山岡直子さんは、おそらくキャラクターデザインは初めてですが、歴代のプリキュアで原画・作画監督で参戦していたため、実に自然なプリキュアとしてフィットしていました。
  • 音楽の寺田志保さんは1世代プリキュアを担当するのは初めてです。
  • エンディング(ED)について、振付 CRE8BOY さん, 前期歌:Machico さんは初めての担当でした。また、CGが Unreal Engine になりました。

こうしてスタッフが徐々に変化しているにも関わらず、一定の連続性を維持しているフィクション作品は驚異的です。テーマや主張も毎年異なりますから。以前は担当されていましたが今はもう引退された原画・絵コンテ・作画監督の方々もいらっしゃいます。当然ですが、声優さんも毎年総入れ替えとなります。

現代では「趣味は多様化した」等と言われ、「新規IP」をヒットさせるのは難しいと言われています。しかしプリキュアは作品自体にとんでもない影響力があるため、腰の重い役者起用が可能です。演じる声優さんの知名度に左右されず・いたずらに有名タレントを大抜擢することなく、「この役者こそ演出したいイメージに相応しい」という純粋な判断が出来ます。ここは筆者がプリキュアを好きなポイントとなっています。

例年と違ったこと

2020年2月に今作は開始しました。例年1年間かけて毎週日曜日に放送されます。しかし COVID-19 に伴う自粛状況により例年と異なる展開がなされました。

まず、2020年4月26日から6月21日の間は休止していました。(東日本大震災のあった『スイートプリキュア』でも、制作ラインが止まるような影響はありませんでした。)キャラクターショーやミュージカルショーなど、各種関連イベントについても中止・延期となりました。特に劇場版の影響はとても大きく、例年3月に公開していた春映画は、制作が完成したものの延期され10月に公開されました。更に、10月に予定されていた秋映画は2021年3月に変更されました。今後の映画もどうなるかは正確には分かっていません。

こうした状態が、作品外での例外要素でした。こうした他の年にはなかった困難はありましたが、世間の状況と戦いながら描き切った格闘の作品であったと筆者は感じています。リアルタイムに視聴していないとこの格闘は分からないでしょうから、こうして文章に残しました。(生きることは戦うこと、というテーマは今作44話でも述べられていました。)

一方、作品の中身で今年独特だったなあと思う点は、妖精の重視です。
例えばキュアグレースの変身「かさなる2つの花」という名乗りです。今までの作品でも変身に妖精は必須でしたが、「みなぎる愛」とか「愛の切り札」のように、名乗り文句にはプリキュア本人1名に焦点が当たっていました。が、今回は妖精(ヒーリングアニマル)とプリキュアの2つを双方入れた名乗りになっています。ラスボス:キングビョーゲンも、44話でプリキュアと戦いながら「3人と見習い3匹」とわざわざ言っていました。

絆をテーマにした今作ならではの演出・構成だったと感じています。

実は例年と変わらないこと

こうして例年と異なる要素を持っていた『ヒーリングっど♥プリキュア』ですが、例年と変わらない部分もあります。

まず、合計話数は最終的に45話となりました。例年が47-49話の間ですので、話数にそこまで大きく差が有る訳ではありません。むしろ、終了日が2月20日まで延びてしまったことが例外的です。例年は1月31日までに必ず終わります。2月1日は「プリキュアの日」に設定されているように、プリキュアが始まった日です。この日をまたいで代替わりするのは初めてのことです。

追加キャラであったキュアアースは8月にあった19話に追加されました。途中で人数が1名増えて、そこでED曲が切り替わるのもいつも通りです。途中で放送休止があったため、「8月という時期は遅くない?」「19話って早くない?」というご意見も見受けましたが、例年と比較してもいつもの範囲内です。
確かに『フレッシュプリキュア!』以降、毎年追加キャラの登場時期には試行錯誤がありました。ここは商業上重要であるため、別途専門的な記事を御覧ください( ねとらぼ )。

44話でラスボスを倒し、最終回45話が延長戦であった点も例年通りです。少しギャグ寄りの敵だった点も、過去に例はあります。

最終回で新プリキュア(今回で言えばキュアサマー)が登場するのも、細かくは申しませんが近年はいつも通りです。別れ際が「きっとまた会えるよね」でしたが、これは例年ならば3月の劇場版で会えるからです。しかしながら今年はまだスケジュールがずれた影響があるためどうなるかは不明です。映画 “オールスターズDX1”(2009年)以来続いてきた年間2本体制の劇場版のスケジュールは今年初めてズレ込みました。今後どのように変化するのか、これもまたファンは目が離せません。

今作のテーマ

東映アニメーションからは、今作は「生きる」「絆」「思いやり」がテーマであるとはじめから述べられています。安見プロデューサーからは、

日本中が国際色豊かににぎわい、一つになる2020年だからこそ目の前に広がる身近な世界の大切さ、楽しさ、触れ合う喜びを伝えたいという思いから

と語っています。昨年の『スタートゥインクル』が特に国際色・多様性がテーマであったため、一気に舵を切ってローカルな繋がりを重視したように見えます。(昨年の作品については別途 筆者の投稿 があります。)
個人的にですが、ローカルな絆を重視した作品という視点では『ふたりはプリキュア Splash☆Star』に近いと感じています。

“Splash☆Star” と異なる点は、最終的に「絆の範囲はどこまでか」という問題(☆)が出てきた点です。
主人公のどかは、41話にて敵であるダルイゼンを助けませんでした。ダルイゼンは物語の根幹に関わる人物であり、元はのどかの大病から派生した存在(厳密な解釈は今作を御覧ください)でした。今回は特に思いやりを育んできましたから、最終回に言うように「人間もビョーゲンズと変わらない」ならば、思いやりの対象はどこで線を引くのか?という問題があります。
(※厳密には「敵」という表現は登場していませんが、便宜上用いています。)

ネタバレ防止のために伏せて表しますが、音楽・愛・夢をテーマにした作品では、敵と和解する姿勢が描かれたこともあります。ただ今作は、ローカルな思いやりを描いたからこそ、敵味方の境界をハッキリさせたのかなと思っています。そうでないと「人間もビョーゲンズと変わらない」という問題に答えられませんから。
最終的に、人間はよりよい未来を願っているからビョーゲンズとは異なる、とテアティーヌ様が45話で答えています。つまり☆については、決して単純な敵/味方観や外見で線を引いた訳ではないということです。

以上

様々な点がありましたが、このように例年と違う点・例年と同じ点、そして今作のテーマに分けて書き残しました。

最後に述べました☆「絆の範囲はどこまでか」というテーマに関して、リベラル寄りな某メディアから「わきまえるヒーローの時代は終わった」という内容で分析していた記事がありました。これについて筆者の考えを最後に述べます。

そもそも「わきまえない」というキーワードは、東京オリンピックに関わる用語です。委員会の森会長(当時)が女性を軽視する発言をしたことに対して、声を挙げる運動がありました。ごく最近、2021年2月3日のことです。オリンピックの運営は日本政府と結び付きが強かったものですから、日本の “旧体制” に向かって声を挙げる女性を「わきまえない女性」として、前進的な女性が誇りを持って使っていました。
オリンピックやこの運動の是非はさて置き、これは一見、今作のプリキュアと合致します。敵が助けを求めて来ても、従来のヒーローならば寛大な心で助けていたかもしれませんが、今作は従来の体制とは異なるから「わきまえる」ことなく切り捨てたということです。この41-42話のダルイゼンのシーンがこのように解釈されていました。

ただ、今作のプリキュアのテーマは絆・思いやりです。絆の範囲を明確にするために描いたシーンですから、旧来の価値観を「わきまえない」という見方をするのは断片的かなあと見ております。実際、42話を見た時点では今年のプリキュアは「わきまえない」という視点は正しいようにも見えたのですが、いざ45話まで見終えてみるとこのような違和感が浮かびました。

このように、プリキュアは毎年ながら最後までオンエアを見届けなければメッセージの全貌は分かりません。筆者も何度もプリキュアにはこれを思い知らされて来ました。もし今後もプリキュアをご覧になる方がいらしたら、是非とも最後まで見届けるという姿勢を持って欲しいと思います。

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