恋心は超グリーディ

普段質問されることを文章起こした場所です。ライブ配信やゲームイベントにまつわるものです。もしくは、たまに筆者の趣味の文章が交じります。

Feb 25, 2019 -

G6 第3章 競技の魂

Genesis6 旅日記の第3章。大会2日目である。

Genesisの大会2日目は、中間日でありながら函谷関かんこくかんである。ツウぶった者は固唾を呑んで見守り、感情に手綱を締める必要のない者は打ち物を鳴らして跳躍する。

朝、私が時差ボケにまかせて自然に目を覚ますと、誰も起きていなかった。遮光性の高いカーテンに守られた暗いホテル部屋から外をのぞくと、眩しさに目がやられた。唯一、我が師 Takoman さんだけが私につられて目を覚まし、ベッドに腰掛け、世界観を超越した一言を口にした。

「俺の忘れ物、San Jose にあるらしいんで。今から取って来ます。」

状況を申し上げると、Takoman さんは木曜に Uber( 第1章にて説明 )の車内で忘れ物をした。重要なモノがその中に入っていたため、ここ2日間ひたすら連絡を取ろうともがいていた。遂に行方が分かり、サンノゼ(San Jose)市の集荷所に在ると発覚したため、現地へ赴くことにしたらしい。しかしサンノゼは遠い。第1章に登場したサンフランシスコよりも更に南に在る。覚えている方は、Genesis3, 4旅日記に登場した街である。

こうして、Takoman さんは独り Uber を呼び、朝8時の街へ疾走して行った。

“代替メッセージ”
[この日の朝のオークランド。ホテル前。]

Takoman さんの勇姿を見送った私は、単身オークランドのストリートに降り立った。朝10時から、私だけ試合がある。いや、他の日本勢も試合があったかもしれない。が、私自身が闘魂を入れて準備し・臨むこととなる大会は余りに久々で、周りなど視えていなかった。夜のながあめにしけった路面は、枯れ葉とゴミで散らかっている。街路樹として並んだオークの木は、すっかり葉を落としてすっきりとしていた。

トーナメントの仕組み

“代替メッセージ”
[朝、会場に映されたスクリーン。]

説明しよう。Genesis6 では、スマブラDXだけで1000名以上・スマブラSPだけで2000名以上のトーナメントを消化せねばならない。勿論他の競技もある。これらがダブルエリミネーション形式( 説明 )で行われる。時間がかかりすぎるため、一次予選だけで2日目に喰い込む。

偶然、私の一次予選は2日目朝に配置されていた。この日は残りの予選が午前のうちに消化されると、午後からは二次予選・本戦トーナメントと進行して行く。この日のうちに、Top8 が出揃う。

筆者予選

万全を期して、試合の1時間以上前に会場入りした。荷物検査をこえて足を踏み入れた会場は、已然満員で、昨日よりも暑く気圧が高く感じた。

私がここまで気合を入れたのは、Apex2015以来だったと振り返る。その頃はまだ今の「ゲーム関連」の職にも就いていなかった。その後就職し、スマブラでも大会運営の道に一本化し、長らく勝負を忘れて詩人として生きてきた。今、久々に帯刀し、刃を研いでこの地に立っている。

そして迎えたトーナメント。予選、勝者側2回戦は Pandarian とであった。この予選ブロックに配置された最強プレイヤーであり、大会第60シード。15歳ながら安定した成績があるのみならず、前作WiiU版の時点で Lima, Larry, Elegant といった強豪から白星を奪った爆発力もある(Lima は直近のEvo王者)。詩人の筆者には高い壁であった。例えて云うなれば日本戦国時代の武者と、読書階級である江戸時代の武士くらいの差。実力的にも精神的にも別格であった。

“代替メッセージ”
[配信台の袖]

何故かこの試合、配信台に呼ばれた。私は覚悟を決めてコントローラーの紐をほどいた。(「配信台ってなに?」という方は、ウィンブルドンのセンターコートだと思って頂ければ。)コールがかかって階段をのぼる。配信台の上は不思議と静かであった。

{% oembed https://www.youtube.com/watch?v=U_GeoQsn2Ow %}

試合結果は 2-0 で敗北。Pandarian 戦を見越して、使用ファイター:ポケモントレーナー対策をして来たのだが、地力が不十分だった。

ケツイを力に、すぐにダブルエリミネーションの敗者側に臨んだ。配信台から大回りし、人混みを掻き分けて自分の予選が配置されていたブロックに帰る。そこから連戦した。何回勝ったか分からない。4回勝ったらしいが、勝った試合は全て 2-1 であったことを記録が示している。写真を撮って残していないほど、休憩もない予選進行だった。

そして予選の敗者側最終戦で、負けた。最後は Tosty(使用ファイター:ゼルダ)であった。Tosty とはその後も会場で会って色々と話した。プログラマーを目指していて、今はカリフォルニア住まいではないのだが、いずれ仕事でシリコンバレーに来たいようであった。スマブラでその道を志していれば、また会うこともあるだろう。ありがとう。私は長らく大会運営の身に眠っており、

「今ここに居るこいつを倒す」

という感情を忘れていた。中々この競技者の魂は、目覚めてくれない。こうして思い出せたのは、Genesis6 のトーナメントで対戦してくれた全プレイヤーのお陰だと確信できる。目標の一次予選突破に一戦及ばなかったことは悔しいが、この感情が今後の人生で必ずや役立つことを願っている。

“代替メッセージ”
[Trihex。会場出入口にて。]

お昼を食べようと会場の外へ出ると、お天気雨が降っていた。Genesis ではいつも雨が降っているが、太陽の中で雨は降るというのは珍しい。外に行くとふっと気圧が下がり空気も軽く、雨に冷やされ、闘志に満ちていた感情は冷めた。そこで Trihex と遭遇した。Trihex はスピードラン(RTA)の有名人で、Tempo Storm に所属しているほどの知名度である。(そのため ZeRo と同業。)本職はスマブラではないのだが、Genesis にはいつも来ているため、面識があった。今回は進行ボランティアまで参加していた。(Shogun さんの二次予選はTrihexが担当していた。)

“代替メッセージ”
[スプラ勢とランチ]

一方で、Splatoon2 に参加している日本勢は、Top12 本戦進出を決めていた(チーム InfSq )。皆さんまさかの現地住民ということで、心強い限りであった。ちゃっかりお昼へ案内して貰った。本当にありがとうございます。

遠征にはいつも新たな出逢いが付き物である。特に海外に行くと、こうして楽しいメンバーに会い、そして再会することが出来る。

本戦トーナメント64名

ある程度スマブラを知るようになるとこの「2日目」が面白い(見ている分には)。最終日(3日目)はTop8。たった8名のための天界であり、芸術である。一方、2日目はその天界を目指す猛者たちが、志半ばに敗れ、倒れて行く。各州を・各国を代表する選手たち、各チームを代表するプロたちが、次々と激突して花びらを散らせる。観る側にとって興奮する番狂わせはここで起こる。

私が敗れた一次予選の直後、昼時間帯に更に二次予選が行われ、夕方「本戦トーナメント」(Bracket) の号令がかかる。ここに生存しているプレイヤーはTop64。2100名以上から、1日以上をかけて64名に絞られた。 出師表 で紹介した日本勢7名は全てここに生存。Abadango, Nietono, Shogun, Zackray, Umeki, Shuton, Rain。あとはノンストップでTop8まで、トーナメントは走り出す。

“代替メッセージ”
[本戦中の観客。立ち見が出ている。]

ここからは、スマブラファンならば名前を聞けば自然と顔も浮かんでくるようなプレイヤーしか残っていない。いつもは動画の向こう・写真の中に居る海外勢が、生きた姿で敵として立ちはだかる。特にこのTop64の経過が気になる方は、 こちらのSmash.gg からご覧あれ。

“代替メッセージ”
[Shuton vs VoiD 直後。そしてカメラマンの Robert Paul。]

また、本戦トーナメントからはルールが「3本先取」となる。3ストック1試合としてこれを3試合の先取である。これが苦しい。スマブラに余り馴染みない方も、機会があったら試して欲しい。友達と1on1で対戦し、どのようなルールでも良いので「3試合先に取った勝ち」という対戦の長さを。

“代替メッセージ”
[2GGが担当する2nd配信ステージと、実況するBAM、そして群がる観衆。ESAM, TKBreezy, Seagull Joe, CaptainZack, Bear といった面々が見える。]

前日の1日目は、予選を終えたトッププレイヤーがくつろいでいる姿が見られた。ESAM, Ally も観客席で背もたれによりかかっており、ゆったりしていたが、流石にこの日は違った。自分の試合のために立ち上がり、自分の相手になりうる試合を真剣に睨んでいた。

この旅日記では、3名のプレイヤーに絞って、列伝形式でトーナメントの経過を見て行きたい。遠征した各プレイヤーの持つメディア・ブログもあるため、日本勢各位の詳細は、そちらに任せるとする。

Leffen

“代替メッセージ”
[ TSM のツイッター から:Tweek(左) と Leffen(右)]

Willian Hjelte(ウィリアム・ジェルテ)、プレイヤー名:Leffen。スウェーデンのスマブラ “DX” 勢である。24歳。「以前よりTSM所属」という事実が、実力の全てを物語っている。

スマブラDXとスマブラSPはどのくらい異なるのか、他のゲームをプレイされている方は見当がつかないと思う。DXとSPは、ジャンルが同じだけの別ゲーと思って頂ければ良い。また、スウェーデンを含めたヨーロッパは面積が広大で、プレイヤーが散在している。Leffen はここまで、主にオンラインの練習に頼っていた。

実は大会前、Leffen は今大会について「ヨーロッパ選手のシードが低すぎる」と物言いをつけていた。確かにゲームは発売したばかりで、国際戦もまだなかったため、シード順を割り振るのは難しい。しかし発言が手厳しい Leffen は批判に糸目をつけなかった。Leffen に賛同したプレイヤーの輪が広がり、Genesis大会運営はスタッフを増加採用。新体制でシードをつけ直す結果となった。(この時に Penguin(ペンギン)というミームが流行った。)ただ、傍目で見ていた者たちに、こういった感触があった:

「ヨーロッパのDX勢に何ができる?」

Leffen は確かにスマブラDXではトップクラスの英雄である。しかし別のゲームを始めた所で、オフライン大会での実績も少ない。シードが変わったくらいで、結果は変わらないだろう。二次予選が関の山だ。…と。

そして大会は始まる。Leffen の道はなだらかではなかったが、大方の予想を大きく上回る勢いを見せた。二次予選では、Seagull Joe と Kofi を下し、勝者側のまま本戦トーナメントまで漕ぎ着けている。Seagull Joe は嘗て前作の “絶対王者” ZeRo に土をつけた奇跡のプレイヤーの一人であり、Kofi は tamim(元 Mistake, 昨年のGenesis準優勝者)を破って来ている。この時点で、Leffen は同時出場していたスマブラDX部門を棄権し、スマブラSPに集中した。

本戦トーナメント、Leffen はあの WaDi を 3-1 で倒した。もはや勢いに手がつけられないように見えた。ここで待ったをかけたのは、“若年王” こと優勝候補のMkLeo である。

{% oembed https://www.youtube.com/watch?v=h-KZHPbzGa8 %}

MkLeo vs Leffen。タイトルの異なるスマブラから代表的なプレイヤー同士がぶつかった。誰もが夢で想像したカードである。こうした異種プレイヤー同士が対戦するところがスマブラSPの魅力である。結果は、MkLeo の勝利。Leffen 破竹の快進撃はここで一度ブレーキがかかった。

そのまま敗者側で yeti(ロックマン使い)がトドメを刺し、Leffen はここで止まった。

Top24。これほどの好成績を真面目に期待していた者は少ない。今後も Leffen が大会運営を掻き乱し、いずれはTop8に入ることを、観ていた誰もが楽しみにする好い内容であった。

Tweek

Gavin Dempsey(ギャヴィン・デンプシー)、プレイヤー名:Tweek。アメリカ東海岸ニュージャージー州出身。20歳。大会直前、上と同じTSMへ所属が決まった。

今回の優勝候補筆頭であり、“若年王” MkLeo と並んで期待された。

{% oembed https://www.youtube.com/watch?v=EXdfvS6wmp8 %}

しかし本戦トーナメント途中でESAMに 3-2 で敗北。ここが大会一の番狂わせと筆者は云いたい。

そこからはダブルエリミネーション形式の敗者側トーナメントである。まずはフランスの Gluttony を下す。

***※Glutonny : フランスの英雄。スマブラX時代からのワリオ使い。Tweekに当たる直前、日本のNietonoさん・東海岸のMarssを倒して来ていた。ちなみに「暴食」を意味する gluttony とスペルが微妙に違うのだが、これは本人がスペルをミスったと認めている。 ***

続いて日本の希望:Shuton 選手を 3-0 で撃破。日本最大参加者の大会『ウメブラ』にて、第一回優勝・第二回準優勝という安定した結果を出していた Shuton さんが、惜しくもここで消える形となった。流石はTweekである。そしてTop8を懸けた最後の門で Dabuz と対峙。前作から長いこと対戦経験のある Dabuz であったが、気心の理解というものは特殊に作用する。Tweek は敗れ、今大会 Top12 でフィニッシュ。

所謂 Sponsor Curse が発現してしまったと云われている(スポンサーがついた直後の大会では思ったよりも結果が振るわないジンクス)。必ず今後があるので期待したい。

“代替メッセージ”
[蛇足:Samsora と会話する Umeki さん]

CaptainZack

Zack Lauth(ザック・ラース)、プレイヤー名:CaptainZack。ジャズ発祥の地:ニューオリンズ出身である。17歳と、実績があるプレイヤーの中では非常に若い。(日本のCaptain Jackさんと名前が似ているが、こちらのZackの方が後付け。)

![“代替メッセージ”](/images/G6/スクリーンショット 2019-02-18 21.41.07.png)
[ Evo2018最終決戦 :Lima(左)に話しかける CaptainZack(右)]

直近のEvoは準優勝。

CaptainZackは、嘗てこの大会 Genesis4 が生み出した英雄の一人である。妖艶なルックスと派手なパフォーマンスが人気 …であった。それは前作でベヨネッタというファイターを使っていた頃で、新作が発売してのち本人は使用ファイターの比重をピーチ・デイジーへ傾ける。それと共にステージ上でのダンスは影を潜めた。会場で久々に会った Captain Zack は、頬の骨が秀でた風になっていた。

{% oembed https://www.youtube.com/watch?v=-gcW1gL9z0A %}

本戦トーナメント緒戦、上記 Tweek と対決し、敗北。実は両者、嘗て同チームにスポンサーされていたことがあった。

敗者側。Ally, Salem という2名のEvo王者を撃破。人気度No.1プレイヤー:Nairo をも下す。そして最後の最後、あと1勝でTop8という所で、Light に敗れ、Top12 でフィニッシュ。

※Nairo : アメリカ東海岸プレイヤー。Tweek, Mew2King らと同郷。歴戦のプレイヤーだが現在22歳。前作では “絶対王者” ZeRo を初めて倒した男。人気度が極めて高く、Nairo のファンは Naifu と呼ばれる。日本を何度も訪れ、ウメブラ・闘会議といったイベントに参戦している。最近、Wendy’s が個人スポンサーについた。
所属はNRG:NRG は NBA に参加する Sacramento Kings を母体とする強力なブランド。SanFrancisco Shock の名義で巨大Esportsリーグ : Overwatch League にも参加している。

敗れた相手は決して弱くは無い。寧ろ倒した相手を見ると、今大会MVPを贈呈しても行き過ぎではない。Tweek, Light は負けて仕方ないという相手だが、こういった相手を倒さなければTop8への道は開けない。

嘗て Keitaro が云った
「Top8には8人しか居ない」
Top8 への道は長く遠く
ゲームを知るとより遠くなる
ゲームに決意を固めた者
暇日少なく眠りを殺す
勝って母国に錦を飾るも
それは終わりではない

…誰にとっても、ゲームで競技するというのは永遠に競い合い、他者に比較される日々が続く。ゲームの世界で強くなり精神が一種「解脱」した人は見たことある。一方で筆者は、強くなった結果満足して幸福になり足を止めた人物を見たことがない。ゲームの道全般は戦いの繰り返しであり、終わることはない煉獄の道である。筆者は競技者ではないのだが、ここにいる人間の独特な真っ直ぐな性格が好きだ。他にもこれを読んでいる方で:

  • 年功序列を守り同調圧力が強いしたっぱの人
  • 「それサークルの先輩」を連呼し同族グループを形成する人
  • 余り姿を見せないけど何故か偉い扱いされる人
  • ツイッターで下ネタを連呼し本業には向上心がない人

…これらが評価される意味不明な日々に不満がある場合は、スマブラで競い合う世界は実にオススメである。最も非日本社会的で、自由に開放されている。挑戦者を笑わず、負けを恥ととらえない。

“代替メッセージ”
[立って観戦する日本勢。左から Umeki, Shogun, Nietono]

そして…

Top8 は出揃った。

“代替メッセージ”
[サインするZackrayさん]

本戦トーナメント(64名)に残った日本勢7名のうち、Top8へ生き残ったのは Zackray 選手のみという結果だった。実は Genesis 大会側の定めたシード順でいけば下馬評通りなのだが、我々は心の中では納得行っていなかった。日本勢はもっと多く残って欲しかった。それ相応のメンバーが渡米したと信じていた。

この日生き残った各種目 Top8 が、明日へ進出する。Rivals of Aether, スマブラ64, スマブラDX, スマブラSP から、選ばれし戦士たちが出揃った。明日は別会場。仕立てられた相応しい舞台で行われる。

日本勢各人の道は、これらからご覧になってほしい:

“代替メッセージ”
[会場の出入り口にたまるメキシコ勢。MkLeo が映る。]

この大会、遠征しているのは日本勢だけではなかった。ヨーロッパの Leffen, Armada, Glutonny もそうだが、Regi, Javi といったメキシコ勢も勿論そうだ。その最たる例が MkLeo である。遠い旅路を渡っても、必ずしも本意な結果を得られる訳ではない。それは分かっていたが、それでも大会に行く理由が一人一人にあった。(MkLeo は何故か Takoman さんと仲が良い。)

驚くらくは、スマブラDXでは aMSa 選手が生き残っているところであった。筆者がスマブラSPを注視していて追い切れていなかったのだが、まだ勝者側で生存していた。これは意外だった。寧ろ、絶対来ないだろうと踏んでいた。(Tweekの際にも述べたが)Sponsor Curse というジンクスが有り、スポンサーがついたプレイヤーは直後の大会でパフォーマンスが一度悪くなるという伝統があった。しかしaMSaさんはこのジンクスを跳ね除けてTop8入りを果たした。

Syd たちと

今日も無事大会の行程は終了した。会場正面のプロジェクタは消え、辺りを包んでいた競技の炎は一旦眠りについた。

“代替メッセージ”
[深夜1時の会場。前列右に座っているのがChamp。]

スマブラ勢でない方で目聡い者は「初日の予選で負けたプレイヤーはどうするの?」という疑問が湧くだろう。確かにここの参加者は殆どがオークランド市の外から遠征し、ホテルを取って参加している。3日間の旅程を無駄にしてしまはないだろうか?と疑う方が尤もである。実は、会場に設置されているモニター・ゲーム機(併せてセットアップ, セタップと呼ばれる)は勝手に使って良いため、出会った者たちとフリー対戦をしている者が多い。夜も24時間会場が開いているため、幾らでも楽しめる。 今も会場は夜。初めて顔を合わせた相手とフリー対戦する者たちで会場は埋まっていた。

この日は既に TO Joe(カナダの大会 GOML の主催)と晩飯を食べたのだが、まだ油断して会場を歩いていると、Syd につかまった。Syd は 2GG のスタッフである。年末日本に来ていたので、ちょうど観光案内していた。

“代替メッセージ”
[ピザ屋のSyd]

そのまま 2GG の Champ と共に、ピザ屋に行った。道中、色々な話があった。

「私、Genesis3 の Ranai vs ZeRo を見て、スマブラの大会やろうと思ったの。だから明日は楽しみ。」

3年前 Genesis3 では、勝者側決勝で日本の Ranai さんと “絶対王者” ZeRo が激突した。 結果は 2-3 ZeRo 勝利 。当時、負けることが諦められていたZeRoと、世にも珍しい「むらびと」使いRanaiさん。日本中がRanaiさんを応援していたが、及ばなかった。

明日はTop8。日本の Zackray 選手の試合がある。Syd は明日、MkLeo と Zackray さんが激突するところを見たがっていた。

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G6 第2章 大会運営 G6 第4章 カーテンコール

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