恋心は超グリーディ

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Jan 4, 2016 -

アメリカの攻撃的な価値観 スマブラ

今回は、価値観に関する内容です。スマブラの立ち回りの価値観を例に出しながら、なぜ日本とアメリカでこうも見方が違うのか、少し広めに述べたいと思います。

“アメリカの攻撃的な価値観” (Apex2015, 2日目 観衆)

「アメリカのスマブラはスタイルが違う」

日本のスマブラプレイヤーは、「アメリカ人の立ち回りは違う」ということを言うことが多いです。具体的には、「より攻撃的」と感じる方が圧倒的多数なようです。Apex2010でも、ブルード選手・すいのこ選手がVGBCでのインタビューに於いて「アメリカのプレイヤーが攻撃的」と述べています。

参考動画

私もそう思います。ただ、これはスマブラにだけ限った話ではないですよね?
他の格ゲーでも「日本が確実志向 / アメリカが攻撃的」と言われていますし、他のスポーツ・私生活でも適応出来ると思います。これは主観的感覚値ですが、日本人の方が「これなら確実にイケる」「危険が無さそう」を好み、アメリカ人の方が「ワンチャンめっちゃ利益がある」「リスクがあっても期待値で評価」を好んでくる傾向があります。例えば、日本の学生は「良い大学に行って良い企業に行きたがる」傾向があり、アメリカの学生は「良い大学に行って起業したがる」傾向がある、と言われています。(「良い大学」「良い企業」の定義はほっときます。)

日本とアメリカでは、この積極性の面でコントラストになっていることに、あまり感覚的な異論は出ないと思います。この投稿では、その原因の一つを述べて行きたいです。

言語

私は日本のスマブラを “反確文化” と考えています。相手が行動した所を突く攻撃(または相手の行動を予測しての攻撃)をメインに掲げているはずです。そうでなくとも、反確が重要であることは理解できると思います。
しかし、アメリカのプレイヤーはそう考えていません。まず「反確(反撃確定)」に当てはまる言葉が存在しないのです。punish , guaranteed などそれに似た単語はありますが、明確に「反撃確定」の逐語訳になっている単語は無いと考えています。恒常的に「今の反確でしょ?」「足遅いから反確無い」など言いません。

要するに、 “反確” という単語がないから “反確文化”(日本の戦術のように、安全志向で確実にダメージを稼ぐ守備志向な戦術)になり得ないのです。または、国民的に積極的な文化があるからゲームでも攻撃面で “反確” という言葉を作る必要が無かったとも発想できます。そこは、卵が先か鶏が先かという議論になってしまいますね。
(ちなみに「卵が先か鶏が先か」は英語でも chicken and egg situation として逐語訳が存在します。由来がプラトンだからです。)

じゃあどう考えているの?

「じゃあアメリカ勢はどうやって考えてスマブラしてるの?」というのは、誰でも浮かんでくる疑問であるはずです。そこで、いい動画を発見しました。

以下の動画は、LoF の False が投稿している動画です:

【Zoning】

参考動画

【The Neutral】

参考動画

動画の中に、

  • Zoning(ゾーニング)とは、間合い・当たり判定を駆使して、相手プレイヤーが自分へかける行動・プレッシャーを制限すること。
  • Neutral(ニュートラル)とは、同等のステージコントロールを持っていること。この時、互いのプレイヤーがより有利な崖状況へ持って行こうとしている。

とあります。これらが戦闘のベースになっているようです。
これらの概念を、日本語で一単語で表せるモノは無いはずです。これらの動画タイトルが「スマブラのレッスン1 & 2」であることを鑑みると、いかに Zoning / Neutral を重視しているかは想像に難くないでしょう。でもこの世界観が日本には無いのです。お互いの大事な部分が、お互いの語彙に無いという現実が、かなり根本的な差をものがたっています。

なぜネスは強キャラか

更に Zoning の動画では、ネス(日本では強いけど超強いわけではない)が、アメリカで超強キャラである所以を説明しています。
(参考:日本キャラランク)

「ゾーニングを念頭に置くと、ソニックのように素早い行動を持つキャラは相手のゾーンを崩すことが主眼になる。一方マルスのようなキャラ(リーチが長いが攻撃発生が遅い)は、壁を作って相手の行動を制限し、一定の間合いを保つことが重要となる。シーク・ネスは生来、ゾーンを崩すことも壁を作ることも出来る。」

…だそうです。たしかに、そういう価値観で戦っていたら、ネスは強いでしょう。

結局

今までも「日本は安定志向、アメリカは攻撃的」という価値観を感じてはいた方が多いと思いますが、それでなんとなく済ませていてはつまらないでしょう。そもそも語彙が違うから、戦法が異なるのです。他のゲームでも、なぜアメリカ人が日本人よりも積極的に攻めていくのか、語彙の面から細かく調べたら色々出てきそうです。

“アメリカの攻撃的な価値観” (EVO2015, 最終日 ステージ)

日本でも、ゲーマーがもっと積極的にイベントへ赴く習慣を身につけて、より “Hype” を作っていって欲しいですね!

ちなみに

ちなみに、ウル4ではアメリカでも「起き攻め」のことを “Oki” と呼びます。これはアメリカにこの価値観が無かったため、日本語から輸入したせいです。(“wake up game” がありましたが、「起き攻め」の方が意味が広かいし言いやすかった。)
また、この記事の冒頭で「アメリカの学生は起業する」ということを述べましたが、これは西海岸ではどの企業も採用条件として「N年以上、どこかの会社でXXXの経験が必須」を掲げているため、新卒大学生が就職先が全然無いからとも言われています。(上司に訊きました。)

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