恋心は超グリーディ

普段質問されることを文章起こした場所です。ライブ配信やゲームイベントにまつわるものです。もしくは、たまに筆者の趣味の文章が交じります。

Mar 23, 2022 - gamerlogy esports tournament smash

ストリーマーファンから大会スタッフとなった人たち

現代ゲーマー、そして界隈のファンの皆様は何に興味が有るでしょう?「競技シーン」かもしれないですし、「ストリーマー」かもしれません。これら2つは異なる世界ですが、これら2つを繋ぐものは有るでしょうか?今回はこの「繋ぐもの」について述べます。

背景

本編に入る前に、現代の背景について述べます。

2022年現在、ゲーマーの世界では「競技シーン」と「ストリーマー」は別の道を歩んでいます。

「競技シーン」とは、純粋な腕前で勝ち負けを決める世界です。タイトルにも依りますが esports と呼ばれることもあります。
例えば世界各地で “League of Legends” のプロリーグは盛んですし、昨年は日本代表が世界 Top16 に進出したニュースが話題になりました(註1)。今も “Valorant” では VCT 今シーズンが行われており、日本代表を決めるべく激しいトーナメントが行われています。
2015年くらいまでは、ゲーマーと言えば競技シーンでした。数値での証拠は無いのですが、企業がスポンサーにつきたいゲーマーと言えば競技シーンのプロだったでしょう。

一方「ストリーマー」とは、ゲーム実況をするクリエイターのうちライブ配信を主戦場にする人のことです。競技者というよりはエンターテイナーにあたります。
ゲーム実況自体は日本でも長い歴史がありますが、投稿主・YouTuber と呼ばれるような「動画」(= VOD) を主とする人とは異なり、ストリーマーはライブ配信をして視聴者とリアルタイムに対話する方式を主体にしています。
例えば SHAKA さんが有名ですし、今流行りの VTuber もどちらかと言えばストリーマー文脈に当てはまるでしょう。こうした著名人に限らず、皆様がプレイしている各ゲーム界隈毎にストリーマーは確実に存在しています。

“代替メッセージ”
[競技シーンとストリーマーの比較。競技シーンとは大会のことであり、プレイヤーはトーナメントに出場し、勝ち上がることを目的にしています。一方のストリーマーはゲームをプレイし、視聴者と会話するエンターテイナーです。]

筆者の見方

現代の「競技シーン」と「ストリーマー」について、分類や分析の仕方は色々有るでしょう。筆者の見方を申します。

古来から競技者は競技者、ストリーマーはストリーマー、と冷静な分離があります。対立・抗争がある訳ではないのですが、「違うモノ」と捉えることが一般的でしょう。

この10年でストリーマー(ゲーム実況者)は特に発展しました。広く大きな数字(再生回数・同時視聴者数)を持っており、スポンサーがつくようになりました。今となっては、そのゲームタイトルで最も注目される大会(時には公式大会も)が、競技者が勝ち上がったトーナメントではなく、ストリーマーを集めた大会であることもあります。

筆者は本業の仕事でストリーマーの方々と接しているのですが、趣味で大会運営をしている者です。どちらかと言えば大会運営がきっかけで就職したため、自分のアイデンティティは大会運営だと思っています。競技シーンとストリーマーが分離していることは、面白くもあり悲しくもある、と感じています。

大会とストリーマー

では本文の本編に参ります。

今回は “スマブラSP” (大乱闘スマッシュブラザーズ SPECIAL, 2018年末発売)を扱う “篝火” という大会と、同タイトルで活躍する がくと 選手というストリーマーとの繋がりを追求しました。

篝火とはユーザー主催の非公式オフ大会です。スマブラSP では事実上の関東最強決定戦として機能しています。競技的な大会です。火をモチーフにしており、映像がハイテクで新しいところが魅力です。

“代替メッセージ”
[大会『篝火』のイメージ。画像は以下のPVからスクショしました。]

動画URL 篝火#6 ハイライトムービー]

競技的な大会では選手の活躍に目が行きがちですが、勿論スタッフが存在します。

篝火は非公式大会・有志イベントです。スタッフは自主的に入るしかありません。やりたい者が無償で働きます。予算的に業者から発注することもないため、バイトの人が来ることもありません。余程スマブラに興味がなければ、無償でオフ大会スタッフなんぞ過酷な労働はしないでしょう。非公式大会スタッフにとって、後継者問題や人員不足は常に悩みのタネです。

非公式大会のスタッフをしたことがない方にはイメージが湧かないかもしれませんが、参考までにこうした例をご紹介します:

一方、がくと選手とは、ストリーマーでもあり競技者でもあります。

使用キャラ:ネスでは世界一と言われています。また、ストリーマーとしての側面も持ち、話し方や考え方が独特な世界観で愛されています。ファンアートがさかんであり、ファンが一つの文化圏を形成しています。

“代替メッセージ”
がくと 選手, がくとライブ配信チャンネル

「繋がり」と申しますのは、がくとさんのファン出身で大会:篝火のスタッフとなった方々のことです。

上述の通り、非公式大会スタッフは中々なる人間がいません。強いてなる人と言えば、現役を退いたプレイヤーが多いでしょう。何年もオフ大会に参加していたからこそシーンに感謝があり、実力が衰えてきたところで今後も界隈に貢献するために「スタッフになるか」と思い立つことが自然です。これはどのゲームでも共通するでしょう。

それと比較しますと、がくとさんというストリーマーの視聴者からはじまり、サブスクライブし、Discord でファン同士で交流した結果、篝火という競技的な大会のスタッフになった方々は特殊にも感じます。ある選手のファンだったりしても、「自分も次のスターになりたい!」と思う若者がいても、「大会スタッフになろう」と思う方は少数派でしょう。公式大会のスタッフならまだしも、有志の非公式大会スタッフになるという発想は突飛に感じます。

インタビュー

これから、がくとさんの視聴者から実際に大会:篝火のスタッフになった方について、1名ずつインタビュー形式でその過程を見ていきます。

特にファンの中でも、「サブスクライバー」(= ライブ配信の月額会員)の方で当てはまる方をピックアップいたしました。どのようにがくとさんのファンになり、どうしてオフ大会のスタッフに興味を持ったのでしょう?

“代替メッセージ”
[今回お話をうかがった5名]

(50音順, 敬称略です)

以下、一人ずつ区切って、まとめて記します。
(Q. は質問内容です。筆者が投げかけました。)

1. あかまるさん

一人目は Shadowverse, フォートナイト, Pokémon UNITE …を観戦していると言う あかまる さんです。

“代替メッセージ”
[あかまる @KpkpGmhr さん]

Q. がくとさん視聴のきっかけは?

スマブラは64(初代, 99年発売)をちょっとやってましたが、SP(今作, 2018年末発売)からちゃんとやり始めて、
ネスを使い出して、日本のプレイヤーで YouTube を見てたらがくとさんの動画が出て来ました。
たしか撃墜集で、「がくとの神プレイ」ってタイトルのやつでした。誰かが作った動画です。
そこから配信を見始めて、今に至るって感じです。SP発売の早い時期から見てます。

Q. がくとさんをサブスクライブしたきっかけは?

Discord でサブスク限定のカテゴリーを見るためにしました

※ Discord は LINE のようなメッセージサービス。オープンな部屋を作り視聴者は URL を貰えば誰でも入れる設定にしておきつつ、機能として Twitch と連携して「サブスクライバーだけが見られるテキストチャンネル」を作ることが可能。がくとチャンネルは Discord がオープン部屋ながら、サブスクライバー限定の部屋も充実。

“代替メッセージ”
[がくと Discord 実際の画面例。がくとさん本人が告知・飯情報を投稿するテキストチャンネルから、ファン同士が交流するチャンネルなど、用途に応じて多く準備される。「サブスク限定チャンネル」に入るには、Twitch でサブスクライバーにならないといけない。]

Q. 篝火スタッフになったきっかけは?

がくとさんが配信で「オフ大会スタッフは大変」という話をしていて、
それを聴いて「行ってみたいなあ」から「スタッフやってみたい」ってなりました。
スタッフになればいろんな選手も見られて良さそう、て思うようになりました。Abadango・ザクレイとか。

時期的には “篝火#4” (2021年6月)。 篝火運営 Twitter に DM 送りました。「設営手伝い募集」ツイートをしていたのでそこからです。

今は私は大会受付と、 運営 Twitter のDM返信してます。

Q. がくとさんいなかったら?

無い。スタッフやってないです。

Q. やってみてどうですか?

楽しかったです。
間近で色んな人のプレイを見られるのと、人と関われるので。

…ということで、あかまるさんはがくとさんが直接配信で放った「大会スタッフは大変」という一言を聴いたことで興味を持たれた方でした。
様々なゲームをご覧とのことですが、その中でもスマブラSPで大会スタッフをされたのは筆者としてはありがたい限りです。

2. 限界社会人ナナミさん

続いては「雑多にゲーム配信を見ている」と言う限界社会人ナナミさんです。

“代替メッセージ”
[限界社会人ナナミ @takatou0711 さん]

お名前が長いため、「限社」さんと呼ばれることが多いです。

Q. がくとさん視聴のきっかけは?

(自分が)ネス使ってたからです。
スマブラSPで動画を探したら、自然と最強プレイヤーががくとさんだったからです。
厳密には Frostbite 2019(同年2月)を見てプロシーンを認識して、Smashlog にぶつかったらそこにネス使いとしてがくとさんが出ていたとこがきっかけです。

Q. がくとさんをサブスクライブしたきっかけは?

YouTube のメンバーシップ(「マイスター財閥」)に元々入っていたので、たまに Twitch 配信をしている時に流れでサブスクしてました。アマプラ会員なので気軽にサブスク出来たというのもあります。
YouTube メンバーのきっかけはメンバー限定のアーカイブが見れるからだったような気がします…だいぶ昔なので記憶も曖昧ですが。

Q. 篝火スタッフになったきっかけは?

偶然が重なったからです。

※限界社会人ナナミさん自身が篝火スタッフとなったきっかけをブログにおこしています↑。綿密な内容があるため、是非御覧ください。

オフ大会参加はじめては “EVO Japan 2020”(2020年1月)…ここで会場でがくとさんとはじめて会話をした思い出があります。
そのあとは断絶期間があって、2021年にがくと配信の “視聴者コロシアム” (サブスクライバー限定オンライン大会)に出場しました。
その後、篝火#3 (2021年6月)一般枠で出場し、大会会場片付け後、わをんさんに初めて会いました。視聴者コロシアムで名前を覚えて貰っていたので。

わをん :篝火スタッフであり、がくと配信のモデレーター。

“西武撃#8”(大会名, 2021年10月)に一般枠で参加しました。ただ、最速敗退しちゃいました。そしたら、わをんさんに呼ばれて配信席(大会ライブ配信運営テーブル)に行ったら、急にスイッチングの仕事をお願いされました。

わをん さんによると、「その時点で限社さんがオンラインがくとDiscordトーナメントの運営をしていたため、配信席に呼んでもイケるだろうと見込んでいた」とのことです。

そして 篝火#5(2021年10月末)、これは2日間開催だったのですが、会場に人数制限があるので Day2 に行くには勝ち上がるか・Day2 見学枠勝ち取り(応募先着)しかなかったんです。迷っていたらがくと Discord DM でマヲさん(後述)に「スタッフになれば Day2 に行ける」という提案を受けました。
そこで、スタッフになることを決意し、 わをん さんに Twitter DM しました。

Q. がくとさんいなかったら?

スタッフは100%ないです。

Q. やってみてどうですか?

篝火という大会について、スタッフが「これやりたい」という部分をスタッフに裁量もたせてやっていいのが印象的です。自分は前回の篝火#6では、「配信台もう1個作りたい」と言って提案し、実現しました。よかったと感じました。

篝火#6 では、がくとサーバーの友達とも交流出来ました。スタッフだから、じゃないかもしれませんが、接点が増えました。

…実際「大会に確実に行きたいならスタッフになりなよ」と口説かれてスタッフになる方は多いです。限界社会人ナナミさんは、説得された相手が同じ “がくとファン” 目線でもあったマヲさんだったところが特徴的です。
ファン同士の交流があると、こうした連鎖反応が起きるという事例でした。

3. さきょうさん

3人目は「ゲーム単位で競技シーンを追いかけること自体がはじめて」と言う さきょう さんです。元はゲーム実況だけ見ていたそうです。

“代替メッセージ”
[さきょう @sakyooooou さん]

Q. がくとさん視聴のきっかけは?

去年(2021年)の5月から見始めました。
ひとり暮らしをはじめて、でもコロナ禍だったので、友達とオンラインでスマブラしたら …ボコボコにされました。
それが悔しかったので、自分がネス使ってたので、調べたら Smashlog のネス解説でがくとさんが出てくる動画を見つけて、
それが面白くてがくとさんを見るようになりました。

Q. がくとさんをサブスクライブしたきっかけは?

「応援したい」というスパチャのような感覚でサブスクしました。

Q. 篝火スタッフになったきっかけは?

写真を撮るのが好きで、 がくとさんを応援するようになったら、だりもこさんのツイッターを見つけて、私も大会撮りたいと思ったし、現場で大会を見たいと思いました。

だりもこ :スマブラオフ大会で写真を撮って公開しはじめた者。 写真ページ

篝火#5(2021年10月末)にはじめて大会というものに行きました。
私は がくと・ゆず の二人を応援していたので、大会前に ゆず さんが配信中に「大会で ゆず さんの写真って撮っていいもの?」と(チャット欄で)訊いたら「いいよー」とのことだったので、当日 ゆず さんを撮影しました。

ゆず : ピチュー・ロゼッタ&チコ 等を使う上位勢。

そして、がくとさんにも当日お声がけして撮影許可を頂いたので、がくとさんの写真も撮影しました。これがすごく楽しかったんです。

私が「たのしい」ってツイートしていたら、
スタッフの絶男さんが「写真撮る人いませんか?」とツイートしているのをマヲさん(後述)が見つけて、そのマヲさんが私に教えてくれて、私が絶男さんに DM したら、スタッフとしてやることになりました。

絶男 :「ぜつお」と読む。オフ大会スタッフ。スマブラSPに限らず、多くのタイトルで長らく有志大会のスタッフをしている。

Q. がくとさんいなかったら?

(スタッフやって)ないです。

Q. やってみてどうですか?

楽しいです。写真撮れているので。
会場の最前線に座って撮っても良いですし、試合中に選手の前に回って撮っても良いと言われたので。「こんなことまでさせてくれるんだ」と思いました。

…そんなさきょうさんの写真はこちらから公開されています:

ツイートURL 篝火大会運営 Twitter から。]

という訳で、さきょうさんは写真という明確な目的がありましたが、ツイートが連鎖反応を起こす偶然を経てスタッフとなりました。

また、さきょうさんはこの前自身のチャンネルで「ファンアートについて」を話していらっしゃいました。是非御覧ください。

4. マヲさん

4人目は、スプラトゥーン2の有志大会でも色々経験があったと言うスタッフ経験者マヲさんです。

“代替メッセージ”
[マヲ @maonoe525 さん]

既に 限界社会人ナナミさん・さきょうさん を勧誘したストーリーで登場したマヲさん。どのような経緯があったのでしょう?

Q. がくとさん視聴のきっかけは?

元々しょーぐんさんを見てたら、去年(2021年)の5月くらいにがくとさんと絡んでいて、それまで存在が自分の頭の中でふわっとしていたけど「こういう人なんだあ」と認知して見るようになりました。

しょーぐんさんを見ていた理由は、単純に面白い。また、普通にやってたら金を稼げないスマブラというタイトルで、稼ごうという意志を感じたからです。

Q. がくとさんをサブスクライブしたきっかけは?

元々Amazonプライム会員だったのですが、がくとさんの配信でプライムサブスクについて知ったので、プライムでサブスクするようになりました。
(Twitch のサブスク自体ががくとさんが初で、それから時々他の配信者にもサブスクするようになりました)

Q. 篝火スタッフになったきっかけは?

大会視聴中にがくとDiscordが盛り上がっており、通話に入ったら他のがくとファンが「今こうなってますよ」と教えてくれてよかった。ただ、(スマブラの大会は)初めて大会をライブ配信で視聴しに来た人に分かりやすくするところが足りなかったと感じました。
なので自分が解消しようと思って、わをんさんに Twitter DM しました。
で、篝火#5(2021年10月末)からスタッフに入りました。ツイッターの告知画像を作ったり、配信のテロップを作ったり。篝火#6(2022年1月)からはスコアボード新しく作ったり、選手インタビューしたりしました。

動画URL マヲさん監修の選手インタビュー。EGSチャンネルより。]

Q. がくとさんいなかったら?

(スタッフやって)ない。ないです。

Q. やってみてどうですか?

楽しい。
好きなことやってるのに、スタッフに受け入れられているのが嬉しいです。大会の本筋に関わることをしていないのに。

…ここで言う「大会の本筋」とは、受付やトーナメント進行のことということですが、筆者的にはそういった本筋・その他という区分は無いと思っています。

映像やデザインで既に経験があったマヲさんは、必然的にスタッフになったようにお見受けします。それでも、がくとDiscordの通話を経てオフ大会というものに接した経験は見逃せないと感じました。

5. Yです。さん

最後は、元はFPSファンだったと言うYです。(表記は ワイ=デス, ワイデス。 など)さんです。

“代替メッセージ”
[Yです。 @yandgw さん]

Q. がくとさん視聴のきっかけは?

私は最初 Overwatch からFPSを始め、そこからCSGO等の配信を視聴していました。 2018年頃はPUBGにハマっていたのですが、12月にスマブラSPの発売があり、

※ Overwatch, CSGO : ともにFPSタイトル。Overwatch は2016年リリースの 6v6 形式。CSGO は Counter-Strike: Global Offensive のこと。5v5 形式。  

友人に誘われたのをきっかけに、スマブラを始めました。
しかし友人は以前からスマブラ(DX~X)をしていた事もあり、全く勝てず、プロの動きを観ていた所でがくとさんを知りました。
最初に観た動画は「親バカ杯」だと思います。

動画URL 親バカ杯:スマブラSP では NPC の人工知能を育成し、amiibo にデータを入れて持ち歩くことが出来る。この「親バカ杯」は amiibo に入れた NPC 同士を戦わせる大会。]

Q. がくとさんをサブスクライブしたきっかけは?

自分も皆さんと一緒で応援したいという理由からサブスクしました!
あと、Twitch でスマブラ配信をしている上位勢が以前は全然居なかったのもあり、引き続き Twitch で配信をして欲しいという願いもあったと思います。

Q. 篝火スタッフになったきっかけは?

前々回(篝火#5, 2021年10月末)がはじめて行ったオフ大会です。観戦枠でした。
「がくとアート」仲間で現地に行って観戦しよう!という空気になって、

※ がくとアート:がくとさんのファンアートのこと。Twitter に投稿されるものも有るが、がくと Discord 内だけで共有されているものもある。描いている人たちの輪がある。

この時点で、既にがくとサブスクライバーの 限社さん・マヲさん がスタッフとして動いているのを現地で見て「へ〜」と思いました。
また、オフ大会の熱気を見て、裏方でサポートしたいと思いました。

私が自分で配信中に「スタッフしたい〜」みたいな話をしてたら、わをんさんが来てコメントしてくれて、 Twitter でてんぷらさんに声かけました。

てんぷら :篝火スタッフ。上記わをんさんと一緒に動くことが多い。

Q. がくとさんいなかったら?

スタッフしてないと思います。
「絶対」に近い確率で、スタッフになってない。

私はがくと Discord がきっかけです。 がくと Discord で視聴者同士で通話してるとたまにがくとさんが来るので、話す機会があり、がくとさんに「配信したら」と言われたので、自分で配信をはじめました。Discord があるから知り合い(上の限社さん・マヲさん等)も出来たので。

すでに「大会スタッフ」という存在の話を聴いたことがあったので、最終的にサブスクライブに留まらず、大会スタッフもやりたいと思ったんです。がくとさん居なかったらやらなかったと思います。

Q. やってみてどうですか?

私は入りたてです。まだ会場で何かしたことは無いです。今はグッズ作成のお手伝いをしていて、
裏で作業を見ています。「大会ってこんなにいろんな人が動いているんだ」と感動してます。

…という訳で、Yです。さんは友達の影響でスマブラを始め、がくとさんに通話で「自分自身もライブ配信してみたら?」と勧められたことで転機が訪れました。そしてご自身で配信中に大会スタッフが現れ、スタッフへ至っています。

↑こちらがYです。さんのチャンネルです。

これでお話をうかがった方々は全員です。わざわざ乗ってくださった皆様、ありがとうございました。

サブスクライバーは動く

5名のお話をうかがいましたが、全員きっかけはバラバラでした。今回ご紹介したがくとファンの皆様が、一斉に示し合わせてスタッフになった訳ではありません。偶然、別々に思い立ち、異なるタイミングでスタッフに入っています。こういった像は、筆者も「がくとファンで篝火スタッフになった人がいっぱいいる」という事実を聴くまで存じ上げませんでしたし、具体的にお話をうかがわねば手筋も具体的には分かりませんでした。

本当はお話をうかがって、

  • 「共通するポイント!」
  • 「再現性あるチャンネル運営方法!」

といったまとめ方をしたかったのですが、きっかけが綺麗にバラバラだったため、この方法で述べることは諦めました。

そこで、当然ですが5名ともサブスクライバー(= 月額会員)であるという視点からまとめます。
サブスクライバーというのは、「ストリーマーの収入源」には留まらない力があります。お金を出しているファンほど帰属意識が高く、帰属意識が高い人ほど「なにかをしたい」と感じています。このあたりの相関関係はコミュニティ心理学で語られています。

確認ですが、そもそもがくとさんというプレイヤー・ストリーマーは篝火という大会とは無関係です。篝火に出場してはいますが、スタッフ・関係者ではありません。それでもがくとさんが存在して、視聴者用 Discord が存在し、ファン同士が交流していたことでスタッフ名乗りをあげた人がいた、ということです。

サブスクライバー軍団とは、受け身のファンに留まらず、存在するだけで動くポテンシャルがあることを認識頂ければ幸いです。

“代替メッセージ”
[画像は フリー素材.com より。例えばコミケは入場にお金がかかり、出展にも代金がかかります。赤字の人が圧倒的多数でしょう。その上で多くの人がコミケに居場所・やることを見出しています。がくとさんのファンは、ただお金を払うファンクラブというよりも、コミケの参加者に感覚が近いと見ています。]

ファン交流の場は界隈を輔ける

今回申し上げたいのは、サブスクライバーは居るだけで界隈の力だということです。ひいては、ストリーマーがファン交流の場を作ることの重要性です。

ストリーマーの方はサブスクライバー(= 月額会員・メンバーシップ型課金)を集める活動をなさっていると思いますが、「集めて終わり」というのは勿体ないです。配信中は皆でチャットで盛り上がっていることと思いますが、配信外の時間にも Discord に集まり、文を書き込み・アートやコラ画像を投稿し、チャンネルポイント予測の結果を自慢し合い、次の配信スケジュールを確認する …etc。こうした場を設けると、自然とファンがクリップを広め、配信開始を知らせてくれて、そのチャンネルは自発的に盛り上がるようになります。ストリーマー自身のチャンネル成長のためにもオススメです。

それに留まらず、ファン同士が交流することで、自然と「その界隈に貢献したい」と思い立つ人たちが浮上します。“場” を提供するというのは、その界隈の未来に繋がります。ストリーマーの皆様は、今まで余りファン交流を意識されていなかった場合はちょっとこれを機会に Discord の整備など、どうかご一考下さい。

また視聴者の皆様も、ご自身が好きなゲームのストリーマーをサブスクライブ(= 月額会員)で応援すると、こういった場を維持することに貢献することになります。皆様が維持した場から次の名物スタッフが登場するかもしれません。ご自身が大会のスタッフをするほどモチベーションが高くはなくとも、サブスクライブすることでそうした人物を輩出することの輔けになることをどこかで意識頂けると幸いです。

筆者のような競技シーンの重要性を感じている者にとっては、サブスクライブ文化が競技に繋がることは喜ばしい限りです。

以上

現代ゲームの世界では、再生回数・同時視聴者数といった数字だけを見ると、どうしても毎日発信しているストリーマーの影響は絶大です。しかし一時的にしか開催されない「大会」というものが、数字的に比較的小さいとしても価値が無いはずがないんです。それはどんな大会でも同じです。

今回のように新しく現れた大会スタッフの方々が、また次の大会を維持し・作り出し、そこでまた新しい人気プレイヤーが現れ、そのファンがまた次のシーンを作って行きます。こうした正に人間的で文化的な活動を、今後も筆者は注視出来ればと思っています。